「インフルエンザのワクチンを打ったのに、かかってしまった」
そんな経験をされた方も多いのではないでしょうか。
インフルエンザワクチンは、接種すれば必ず感染を防げるというものではありません。
それでは、実際にどのくらいの効果があるのでしょうか。
2026年4月、米国小児科学会の医学雑誌『Pediatrics』に、約2万人の子どもを対象としたインフルエンザワクチンの有効性に関する研究が発表されました。
今回は、この論文の抄録をもとに研究結果をご紹介します。
約2万人の子どもを対象とした研究
この研究では、米国の7つの小児医療施設において、2021年から2024年までの3シーズンに、急性呼吸器感染症のため外来受診または入院した生後6か月から17歳までの子ども19,917人を対象としています。
論文の抄録によると、このうち2,831人(14%)がインフルエンザ陽性でした。
研究では、インフルエンザ陽性の子どもと陰性の子どものワクチン接種状況を比較し、インフルエンザによる外来受診や入院に対するワクチンの有効性を評価しています。
ワクチンの有効率は34〜60%
論文の抄録によると、インフルエンザワクチンの有効率は、シーズンによって**34〜60%**でした。
また、ウイルスの種類によっても違いが認められました。
- A型(H1N1):53%
- A型(H3N2):43%
- B型:69%
特にB型に対する有効率が高く、2021〜2022年シーズンでは比較的低い結果でした。
つまり、ワクチンの効果は毎年同じではなく、流行するウイルスの種類などによって変化することがわかります。
有効率50%とはどういう意味?
ここで注意したいのが、「有効率50%」の意味です。
これは、ワクチンを接種した子どもの半分が感染しないという意味ではありません。
例えば、ワクチンを接種していない場合に100人中20人がインフルエンザで医療機関を受診すると仮定します。
有効率が50%であれば、同じ条件でワクチンを接種した場合、受診する子どもが約10人に減るというイメージです。
つまり、ワクチンを接種してもインフルエンザになる可能性はありますが、そのリスクを下げることが期待できます。
なお、今回の研究で評価されたのは、インフルエンザに関連する外来受診や入院を防ぐ効果であり、感染そのものを防ぐ効果とは区別する必要があります。
入院を防ぐ効果も期待できる
インフルエンザは、多くの場合、数日で回復する感染症ですが、時に入院が必要になることもあります。
今回の論文の抄録では、ワクチン接種によって、インフルエンザに関連する外来受診だけでなく、入院も減少する効果が認められたと報告されています。
ただし、接種によってすべての重症化を防げるわけではありません。
まとめ
今回ご紹介した研究では、インフルエンザワクチンに、子どものインフルエンザによる外来受診や入院のリスクを減らす効果があることが示されました。
もちろん、効果は100%ではなく、シーズンによって違いがあります。また、米国で行われた研究であり、日本でも同じ有効率になるとは限りません。
それでも、「ワクチンを打ってもかかることがある」と「ワクチンに効果がない」は同じではありません。
ワクチンには副反応などの注意点もあります。接種を検討する際には、効果とリスクの両方を理解することが大切です。
今回の研究結果も、インフルエンザワクチンの意義を考えるうえで、一つの参考になると思います。
参考文献
Olson SM, et al. Pediatric Vaccine Effectiveness Against Influenza Hospitalization and Outpatient Visits: 2021–2024. Pediatrics. 2026;157(5).
DOI: https://doi.org/10.1542/peds.2025-073973
※本記事は論文の公開抄録に基づいて作成しています。
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